先日、本業で会社を経営しながら、副業でコインランドリーを展開するオーナー様と、マナー違反を減らすアプローチについて深く話す機会がありました。
私は、ルールを守らない一部の利用者に対して「より強い言葉で禁止を促す貼紙はしかたない」と思う反面、「注意書きばかりの店は感じ悪い」という2つの気持ちがあり、そのことを話題にしました。
オーナー様は「人は禁止命令だけでは縛れないのだよ」と静かに言葉を続けられました。ダメだと言われると反発したくなったり、見ていなければ構わないと思うのが人間の心理。だからこそ、オーナー様が本業のビジネスでも実践しているという、行動心理をそっと誘導するナッジ理論を店舗にも取り入れていました。
例えば、防犯カメラの下に警告ポップだけでなく、目を引くぬいぐるみストラップをぶら下げた。利用者がそこを見るとマスコットと目が合い、監視カメラも意識する。ただそれだけで、悪質な違反品の持ち込みも、扉を乱暴に扱う人も減ったそうです。言葉で威圧するよりも、見られているという本能に直接訴えかける方が、心理的な抑止力になるわけです。利用者は、その場所にぬいを設置したお店の人の存在を想像したかもしれません。
さらに驚かされたのが、放置禁止という言葉を一切使わない工夫です。「次に使う方がスムーズに利用できるよう、終了5分前にお戻りいただくとシワも防げて仕上がりが最高になります」という、ルールを守ることが自分のメリットになるというアプローチ。これは単なるマナー啓発ではなく、導線のファンタジスタかつ規律のアジテーターだと、胸の中で鳴り止まない拍手を送っていました。
放置された衣類を入れる専用カゴをあえて透明にして目立つ場所に置くのも、放置するとここに晒されてしまう、という現実を無言で見せ、自然と放置しにくい空気を作っていました。
正論の押し付けでなく、心理を促し自然と行動を変えてもらう。この大人の余裕というか、仕組みの美しさには現場の人間としてマジリスペクト!こうしたアイデア一つで店舗の秩序は保たれ、清掃に入る現場の負担をも減らしてくれています。
オーナー様の経営者としての視座の高さに触れ、自分の考えが直線的すぎたと気づきました。目的のゴールへ着くまで、坂道のきつい直線でなく、きれいな風景の見えるカーブを描いても良い。お店のルール作りも、禁止事項を並べるだけが正解ではないはずです。この空間のファンを増やすパートナーとして、もっと現場で頭を使っていきたいです。

